選ぶって!選ぶってー!?深い

 

 随分と秋が深まってきた今日この頃ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 先日、久しぶりに妻とIKEA(神戸)に買い物に行きました。1年に1度、妻のIKEA熱が沸き上がるようで、私も付き合うことになるのです。

 結局家具などはチラ見するだけで、フライパンとまな板のみを購入し、IKEA(神戸)を後にしました。

 時刻は14:00頃、昼食には少し遅いと思われる時間でしたが、「せっかく神戸に来てるし、神戸牛食べよや」と妻。「普段そんなん食べられへんし、ええなあ」と、私も勿論賛成。

 そして、某有名?神戸牛のお店に向かいました。

 時刻が微妙なためか、客は我々2人のみ。こじんまりとはしていますが、いかにも神戸らしく、重厚感、高級感の漂うお店。カウンターに通された我々夫婦は、場違いな雰囲気に多少緊張気味。

 そこへ店員さん(60代くらいのすごく感じの良い女性、お洒落、笑顔素敵)がメニューを持って来てくれました。そのメニューを見て、我々夫婦は「ハッ」としました。

 ないのです!我々が求めていた日替わり定食(1000円)が!

 代わりに並ぶのが、カレー(1200円)、神戸牛丼(1700円)、牛バラランチ(2200円)、神戸牛カレー(3000円)神戸牛フィレステーキランチ(3500円)の5種。

 同じ店員さんがカウンター越しにメニューの説明をニコニコと続けてくれます。

 「この人、めっちゃええ人やなあ。ただ、なんで日替わりメニューないねん。ちょっとこの店員さんに聞いてみてや」(私と妻、互いの心の中)

 しかし、たった二人の客しかいないこの店内の雰囲気の中で、この笑顔の店員さんに、この店で一番安いメニューの存在を聞くことが、私にはできませんでした。

 「少し考えます」と店員さんに告げ、しばらく考えました。

 (私の心の中)「神戸牛のステーキランチ食いたい。けど高い。奥さんと二人で食べたら、7000円やん!昼飯やで!けど、あんまり安いのも頼みにくいなあ。どうしよ。この店でカレーは絶対にないよなあ。けど、牛丼ていうのも恥ずかしいし、ここまで来てバラ肉っていうのもなんだかなあ」と思い悩んでいるうちに、また店員さんが「どうなさいますか?」と聞いてきました。

 結局私が選んだのは、神戸牛カレー(3000円)!全く選ぶつもりのなかったカレー系統を選んでしまったのです。

 その心理はこうです。「神戸牛の店に来たんやから、ええ肉食べたい。ほんまに食べたいのはもちろん神戸牛フィレステーキランチ(3500円)。けど高い。ほんまのほんまは日替わり定食(1000円)。僕はそれで充分や。けど、メニューにすら載ってへん。ただ、あんまり安いものを頼んでも、ここまで来てそんなん食べんの?と、この優しい店員さんに思われへんやろか?どないしよ!うーん、もう仕方がない!!!えーい!!!!」

 

 「じゃあ、神戸牛カレーで・・・」

 

 選ぶということは、本当に難しいことだと思います。

 今回の私の選択には、あまり本当の自分の思いは反映されていません。

 選ぶことには、自分の本心以外の様々な要素が加わります。

 例えば、お金、雰囲気、一緒にいる人、店員さんの態度、世の中の流行り等々、たくさんあります。

 

 支援現場にて、利用者さんに何かを選択していただく場面が当然あり、その時に「この人はこだわりで選んでるのかなあ?」とか「本当に自分の思いで選べているんだろうか?」と思うこともあります。

 ただ、よくよく考えてみると、自分の思いだけで何かを選択できている人なんて、そもそもいるのかな?という疑問もあります。

 皆が、自分の思いで選べてないから、利用者さんもそれでいいとは決して思いませんし、「選ぶ」という幸せを感じてほしいと思います。

 しかし、「選ぶ」ということは、本当に深いなあとただただ思うのです。

 

牧得生