「ルーツと食文化」

 私の幼少期は父親の仕事の関係で引っ越しが多く、幼稚園を2つ、小学校を4つ通うというまさに「転勤族」の家庭でした。年数で言えばほぼ京都育ちなのですが、小さい頃は毎年夏に大分の祖父母の家に遊びに行っていたので、住んだことはないのですが、何となく九州、特に大分県には懐かしさ、故郷のような感覚を覚えています。ちなみにDNA的にといいますか、ルーツでいうと父が福岡で、母が大分です。 

 

さて、前回担当した記事にもありましたように、発酵食品、発酵食文化に数年前からハマり、今に至るのですが、京都は嵐山に「発酵食堂カモシカ」さんというお店があります。全メニューが発酵食をテーマに彩られていまして、オープン当初から何度も足を運び顔まで覚えられるようになりました。毎回「発酵8種定食」を注文し、私の全細胞が喜びの声をあげるのですが、まさに「最後の晩餐に選ぶ食事堂々第一位」の認定をしています。最近は「もっと生きて食べたい、生きる力が湧き出る食事堂々第一位」にシフトしています。 

 

どうしてこんなに心も体も反応する程美味しいのかなと考えた時に、もちろん美味しいからなのですが、プラス要素で、使われている発酵調味料に「大分産」のものが結構あることに気づきました。例えば特に「醤(ひしお)」は大分県日田市で最も古く明治32年より本社を置く「合名会社まるはら」さんの「にくしょう」。鶏のレバー・心臓と食塩のみで造られるこの製品は、まさに濃厚な旨味をビシバシと我々の味覚にぶつけてくれます。 

 

いわばDNA的に呼び起こされるルーツが細胞を通じて訴えかけているのではないか、と思いながら食べると、より味わいに深みがでるような、そんな気がします。また、以前母親に聞いたのですが、曽祖父の実家が昔、醬油蔵だったと聞かされた時は目に見えないご縁を感じました。まさに菌に呼ばれているのかもしれません…?今後も遠く離れたもう一つの故郷の味を、文化を取り入れては楽しみたいと思います。

 

 

林田